「バーチャルオフィスを利用したいけれど、どのような基準で選んだらいいのかわ
からない」のお困りの方に向けて、【2024年度版】バーチャルオフィスの選び方と
費用相場をご紹介します。また、月額料金として多くみられる価格帯別に、サービ
ス内容やメリット・デメリット、おすすめしたい人の特徴などを詳しくまとめまし
た。
さまざまな角度から比較・検討し、ご自身にとってベストなバーチャルオフィスを
慎重に探っていきましょう。
まずは、バーチャルオフィスを選ぶ際にチェックしたいポイントを5つご紹介します。
バーチャルオフィスの利用にあたっては毎月一定の利用料を支払う必要があり、月額料金に含まれるサービス内容は運営会社によって異なります。そのため、以下のような項目をチェックして「自分にとって必要なサービスが含まれているか」「どのようなシーンでオプション料金が発生するのか」を事前にしっかりとチェックすることがポイントです。
会社設立に向けてバーチャルオフィスの利用を検討している方は、法人登記時に「本店所在地」として申請可能かどうかをあらかじめ確認しておきましょう。運営会社やプランによっては、バーチャルオフィスの住所を登記先住所として使用できない場合もあるため注意が必要です。
バーチャルオフィスの住所に郵送物が到着した際の対応内容も、運営会社やプランによって異なります。自宅等の所定の住所へ転送してくれるところもあれば、随時自分で受け取りに出向かなければならないケースもあるなどさまざまです。
特に、居住地から離れた場所のバーチャルオフィスを利用する場合は、転送サービスを利用できないと非常に不便であるため注意しましょう。なお、海外への移住を視野に入れている方は、海外への転送が可能かどうかを事前に確認しておくことをおすすめします。
月額料金に含まれるサービス内容だけでなく、「どのようなサービスを利用するとオプション料金が発生するのか」についても細かくチェックしておきましょう。
たとえば前述の郵送物転送サービスは、月額料金に含まれている場合もあれば「〇回まで」などと回数が決められている場合、まったく含まれておらずその都度オプション費用が発生する場合など、運営会社やプランによって違いがみられます。
もし月額料金に含まれていない場合、郵送物の転送手配を行うたびに発送手数料や送料等が発生することになります。利用状況次第では、たとえ月額料金が割安でも結果的にオプション費用がかさみ、トータルコストが想定よりも高くなってしまう可能性があるため注意が必要です。
運営会社がスペースの貸出しを行っているかどうかも、事前にチェックしておきたいポイントのひとつです。バーチャルオフィスは、基本的には物理的なスペースではなく住所やFAX番号といったオフィス機能のみ提供しているサービスですが、運営会社によってはバーチャルオフィスの所在地に会議室等の貸出し用スペースを備えているところもあります。
そのようなスペースを利用できれば、たとえば法人口座開設手続き時に金融機関の方と打合せを行えたり、取引先とのミーティングで使用できたりと大変便利です。特に対面でのやり取りが頻繁に発生することが想定される場合は、スペースの貸出しを行っているバーチャルオフィスを利用するとよいでしょう。
バーチャルオフィスの運営会社のなかには、会社設立時のサポートサービスを提供しているところも存在します。また、所在地の移転や役員変更、商号変更などに伴って発生する登記事項変更手続きのほか、商標登録や税務関連のサポートを行っているケースもあり、自力での対応が不安な場合におすすめです。
バーチャルオフィスの運営会社は、「犯罪収益移転防止法」に基づいて顧客の本人確認を行うことが義務付けられています。犯罪収益移転防止法とは、年々巧妙化しているマネー・ロンダリングやテロ活動といった犯罪行為を防止する目的で定められた法律のことで、バーチャルオフィスも規制の対象です。
そのため、バーチャルオフィスの運営会社は身分証明書や登記簿謄本といった本人確認書類のチェックはもちろんのこと、非対面での手続き時には「転送不要郵便」などで取引関係文書を郵送し、現住所として申請された住所への居住確認も実施しています。もしそういった厳正な審査を行っていない場合は違法でサービスを提供していることになり、信頼性に欠けることから利用は避けるほうがよいでしょう。
「⾧期的に利用したい」とお考えの方は、運営会社の閉鎖リスクにも注目することが大切です。多くのバーチャルオフィスは運営会社がビル一棟やフロア、部屋の一室等を借りてバーチャルオフィス事業を営む「転貸」の運営スタイルをとっていますが、その場合は物件オーナーの意向やオーナーチェンジなどの理由でオフィスサービス業を継続できなくなり、拠点が閉鎖となるリスクがあります。
一方、運営会社=物件オーナーといった「自社所有」のスタイルで事業を行っているバーチャルオフィスの場合は、上記のような理由での閉鎖リスクはほとんどありません。閉鎖に伴って別のバーチャルオフィスを探したり、移転による変更登記や周囲への周知などを行ったりすることなく円滑に利用できるため、⾧期間の利用を検討している場合はぜひ自社所有タイプのバーチャルオフィスを選ぶことをおすすめします。
続いては、「バーチャルオフィスの費用はどのくらい?」と気になっている方に向けて、目安となる費用について解説します。まず初回契約時には5,000円~10,000円程度の登録料を支払うケースが一般的ですが、運営会社によっては登録料が発生しないところも存在します。
また、利用にあたっては毎月一定の利用料がかかり、たとえば都内に拠点を構えるバーチャルオフィスの場合は4,000円~5,000円程度が相場です。ただし、月額料金はオフィスの立地やサービス内容、設備環境、常駐スタッフの有無等によって異なり、なかには数百円台のところもあれば、10,000円以上かかる場合もあるなど金額に大きな幅がみられます。
ここでは、バーチャルオフィスに多くみられる下記の価格帯別に、主なサービス内容や審査の厳しさ、メリット・デメリット、おすすめしたい人の特徴などを一覧表にまとめました。
・月額500円~1,000円
・月額1,500円~3,500円
・月額4,000円~6,000円
・月額10,000円以上
ぜひ価格とサービス内容のバランスに注目しながら、どの価格帯のバーチャルオフィスがご自身に合っているのか探っていきましょう。
月額500円~1,000円 | 月額1,500円~3,500円 | 月額4,000円~6,000円 | 月額10,000円以上 | |
主に利用可能なサービス内容 | 住所利用 | ・住所利用 ・会議室等のスペース利用 |
・住所利用 ・会議室等のスペース利用 |
・住所利用 ・会議室等のスペース利用 ・専用ロッカー等の設備利用 ・常駐スタッフによる各種対応サービスの利用 |
郵送物への対応 | 「引き取りのみ可」としているところが多い ※引き取り不可の場合もあり |
「有料で転送可」としているところが多い ※オプション費用や手数料が発生する傾向あり |
「有料で転送可」としているところが多い ※オプション費用や手数料が発生する傾向あり ・郵送物の到着通知を受け取れたり、発送指示をオンライン上で行えたりする場合もある |
・「有料で転送可」としているところが多いが、無料で対応しているケースもあり ・郵送物の到着通知を受け取れたり、発送指示をオンライン上で行えたりする場合が多い |
海外への発送対応 | 不可 | 不可な場合が多い | 可能な場合もあり | 可能な場合もあり |
登記先住所としての利用可否 | 不可 | 可能な場合が多い | 可能 | 可能 |
会社設立・変更登記などのサポートサービスの有無 | ないことが多い | ないことが多い | ある場合が多い | ある場合が多い |
会議室といったスペース利用の可否 | 不可 | 不可な場合が多い | 可能な場合が多い | 可能 |
利用可能なスペースにおけるオフィス設備の充実度 | - | 充実していない | 充実していない場合が多い | 充実している |
審査の厳しさ | 厳しくないことが多い | 厳しくないことが多い | 「犯罪収益移転防止法」に基づき、厳正な本人確認を行っているところが多い | 「犯罪収益移転防止法」に基づき、厳正な本人確認を行っているところが多い |
メリット | 格安料金で住所を利用できる | ・比較的安価で住所を利用できる ・郵送物を転送してもらえる(有料) ・登記先住所として利用可能な場合が多い ・オプションで電話の転送や設立サポートなどのサービスを利用できることもある |
・郵送物の転送を月額料金内で行えることが多い ・郵送物の到着確認や発送手配をオンライン上で行える場合もある ・登記先住所として利用できる ・複数の拠点から好みの住所を選べる場合もある ・オプションで電話の転送や設立サポートなどのサービスを利用できることもある ・会議室等のスペースを利用できることが多い |
・郵送物の転送を月額料金内で行えることが多い ・郵送物の到着確認や発送手配をオンライン上で行える場合が多い ・バイリンガル対応可能なスタッフが常駐していることが多い ・登記先住所として利用できる ・都心一等地の住所を利用できる場合が多く、拠点の選択肢が豊富 ・オプションで電話の転送や設立サポートなどのサービスを利用できることもある ・会議室等のスペースを利用できることが多い ・レンタル可能なスペースのオフィス備品が充実しており、クライアントを呼びやすい |
デメリット | ・郵送物の引き取りに手間がかかる(転送してもらえる場合もあるが、手数料や送料が別途かかる)ほか、引き取り不可の場合もある ・郵送物管理をオンライン上で行えないことが多く、管理しづらい ・オプション費用が多く、結果的にトータルコストが高額になるケースが多い ・登記先住所として利用できない場合もある ・審査が不十分でセキュリティ面に不安がある ・拠点の閉鎖リスクが比較的高い ・会議室等のスペースを利用できない場合が多い ・会社設立や変更登記などのサポートを利用できない場合が多い |
・郵送物に引き取りに手間がかかる(転送してもらえる場合もあるが、手数料や送料が別途かかる場合が多い) ・オプション費用が多く、結果的にトータルコストが高額になるケースもある ・会社設立や変更登記などのサポートを利用できない場合が多い |
・都心一等地には拠点を置いていないことが多い ・レンタル可能なスペースにオフィスの備品が充実していないことが多い ・バイリンガル対応可能なスタッフは常駐していないことが多い |
費用負担が大きい |
おすすめの形態 | 個人向け | 会社を設立したい個人や法人向け | 会社を設立したい個人や法人向け | 会社を設立したい個人や法人向け |
月額500円~1,000円程度で利用可能なバーチャルオフィスは、基本的に住所の利用のみを希望している方に向いています。郵送物の転送サービスを行っていないところが多いため、少しでも郵送物が届く可能性がある場合は不適切といえるでしょう。
また、登記先住所として利用できないことから、個人で運営しているネットショップにおける特定商法の住所など、用途が限られる点に注意が必要です。
月額1,500円~3,500円程度で利用可能なバーチャルオフィスは、法人設立に向けてなるべく費用を抑えてビジネス用住所を利用したい場合におすすめです。なかには郵送物の転送サービスを行っているところもありますが、その都度オプション費用が発生するケースが多いため、到着する郵送物が少ない場合に適しています。
月額4,000円~6,000円程度で利用可能なバーチャルオフィスは、法人設立に向けて登記先住所を利用したい場合はもちろん、郵送物の管理をオンライン上で行えるといった利便性を重視したい方に適しています。また、オプションサービスが充実していることも多く、電話の転送や設立サポートなどを利用したい方にもおすすめです。
月額10,000円以上のバーチャルオフィスは、法人登記可能な住所の利用を前提として、レンタル可能なスペースや各種サポートサービス等の利便性や機能性を重視したい方に向いています。価格が高めに設定されている分、拠点の立地や設備、スタッフの質が高い傾向にあるため、来客対応が頻繁にある場合に利用するとメリットを実感しやすいでしょう。
バーチャルオフィスを選ぶ際には、月額料金に含まれるサービスやオプションサービスの内容をはじめ、会議室等のレンタル可能なスペースの有無や閉鎖リスクなど、多角的な視野で検討するとよいでしょう。まずは「自分に必要なサービスは何か」「何を重視したいか」を明確にしたうえで、価格とサービスのバランスを見ながら探すと失敗が少ないです。
ぜひ今回ご紹介した内容を参考に、ご自身に合ったバーチャルオフィスをじっくりと見極めてください。