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急に地方移住することになった場合の「会社が支払う税金」について【本店所在地:東京都】

都内で会社を経営している方のなかには、「親の介護などで地方移住する場合に税 金の支払い先はどうなる?」といった疑問をお持ちの場合もあるでしょう。

急な環境の変化に備えて事前に確認しておくことで、不備なくスムーズに対処す ることが可能です。

そこで、今回は本店所在地を東京都内に構える事業者が地方に移住する場合に、 法人に課税される各税金の支払い先やタイミングなどをまとめました。さらには、 近年注目されている「地方移住×バーチャルオフィス」の魅力についても併せて 解説します。

地方移住するとどうなる?会社が支払う税金の種類と支払い先

今回は以下のケースにおいて、本店所在地を東京に残したまま代表者が地方 移住する場合における税金の支払い先を見ていきましょう。

本店所在地:東京
代表者移住先:岡山県
スタッフ移住先:宮城県

※親の介護のため代表者が急遽岡山県に移住することになり、このタイミン グでスタッフも実家のある宮城県に移住することが決まったケース

まず、会社が支払う主な税金と支払い先は以下の通りです。

税金の種類 支払先
法人税 東京都 管轄税務署
消費税 東京都 管轄税務署
法人住民税(法人都民税) 都税事務所
法人事業税 都税事務所
地方消費税 東京都 管轄税務署
事業所税(一定規模以上の場合課税) 都税事務所
印紙税 東京都 管轄税務署
社員から源泉徴収した所得税 納税地を管轄する所管税務署
社員から源泉徴収した住民税 各自治体(代表者は岡山県・スタッフは宮城県)

法人を東京都に残したまま移住する場合、法人税や消費税といった税金のほとん どが本店所在地のある東京都から引き続き徴収されます。そのため、税金の支払 い先を大幅に変更するような手間はかからず、スムーズに移住手続きを進められ るでしょう。

ちなみに「社員から源泉徴収した所得税」と「社員から源泉徴収した住民税」は 移住先の自治体に支払いを行うため、少なからず地方にも貢献できます。

会社が支払う各税金の概要と支払うタイミング

ここから先は、先述した9種類の税金における概要と支払うタイミングについて 詳しく解説します。

【法人税】

法人税は国税で、法人が得た利益に対して課せられる税金です。会社ごとに税額 を計算したうえで、本店所在地を管轄する税務署に申告・納税します。

法人税を支払うタイミングは「事業年度終了日の翌日から2ヶ月以内」です。

【地方法人税】

地方法人税は、法人税と同様に法人が得た利益に対して課せられる税金です。地 方税ではあるものの、国から各自治体に配分する地方交付税の財源であることか ら、「地方自治体」ではなく「国」に納付します。

地方法人税を支払うタイミングは「事業年度終了日の翌日から2ヶ月以内」です。

【法人住民税】

法人住民税は、法人の事業所が所在する地域に納める地方税です。税率は各自治 体によって異なるため、所得が同じでも所在する地域によって税金の金額が異な る場合があります。

法人住民税を支払うタイミングは「事業年度終了日の翌日から2ヶ月以内」です。

【法人事業税】

法人事業税は、事業活動を行う際に利用する道路・消防といった公共サービスや 公共施設の経費を、各事業者が一部負担することを目的とした税金です。納付先 は事業所が所在する地方自治体ですが、法人の所得が赤字の場合は納付する必要 はありません。

法人事業税を支払うタイミングは「事業年度終了日の翌日から2ヶ月以内」です。

【消費税】

2年前の課税売上(消費税がかかる売上)が1,000万円を超える場合にのみ、会社 は消費者から預かった消費税を国に支払う義務があります。そのため、新規に会 社を設立した場合は最初の2年間は消費税を納める必要はありませんが、以下の2 つの条件を満たす場合は設立から2年以内であっても納税しなければなりません。

・1年前の前半(半年間)の課税売上が1,000万円を超える場合
・1年前の前半(半年間)の給料支払額が1,000万円を超える場合

消費税を支払うタイミングは「事業年度終了日の翌日から2ヶ月以内」です。

【事業所税】

事業所税とは、都市環境の整備や改善の費用にあてることを目的として、一定規 模以上の企業に課せられる地方税です。事業所が地方税法で定められた都市に所 在する場合にのみ発生し、事業所の規模によって金額が異なります。

事業所税を支払うタイミングは「事業年度終了日の翌日から2ヶ月以内」です。

【印紙税】

印紙税とは、お金のやり取りに伴って特定の文書を作成した場合に、その作成者 に対して課税される税金です。課税対象となる文書は20種類あり、代表的なもの としては契約書や領収書、約束手形などが挙げられます。

印紙税の税額は文書でやり取りする金額によって異なりますが、基本的に5万円 未満の領収書や契約書であれば発生しません。課税対象となる場合は、文書をや り取りするタイミングで必要な額の収入印紙を貼って支払います。

【社員から源泉徴収した所得税】

社員が個々に税務署に支払う必要がある所得税は、会社が社員の給料から天引き する形で「源泉徴収」を行い、社員の代わりに支払います。源泉徴収は毎月行い、 翌月10日までの納付が必要です。

ただし、納期の特例を受けている事業者の場合は、年2回・6ヶ月後ごとに納付し ます。

【社員から源泉徴収した住民税】

社員の住民税も、所得税と同様に会社が給料から差し引く形で源泉徴収を行い、 会社が社員の代わりに納付する税金です。原則的には毎月源泉徴収を行って翌月 10日までに納付しますが、納期の特例を受けている場合は年2回・6ヶ月後ごとに 納めます。

たくさんある!地方移住時にバーチャルオフィスを利用するメリット

今回ご紹介したように本店所在地を東京に残したまま地方移住したい場合は、 「バーチャルオフィス」の利用がおすすめです。

もちろん、それまで使用していた事務所用物件を引き続き借りることも可能です が、移住後に使用しないにもかかわらず高額な賃貸料を支払わなければなりませ ん。その点、バーチャルオフィスに切り替えれば毎月の固定費を大幅に軽減でき、 事務所用物件をレンタルしていた時よりも圧倒的に少ない費用負担で東京での事 業運営を続けられます。

なかには「いっそのこと本店所在地を地方に移そうか」と考える方もいるでしょ う。しかし、やはり都心の住所のほうが「経営が安定している会社」といった印 象を持ってもらいやすく、本店所在地は東京に残すほうが経営活動しやすい傾向 があります。

また、バーチャルオフィスの運営会社によっては「郵送物管理」や「FAX転送」 といったサービスを行っているところもあり、バーチャルオフィスに届いた郵送 物やFAXを移住先住所に転送してもらうことも可能です。このように、地方移住 したあとも東京で事業運営を続けたい場合にうれしい魅力がたくさんあるので、 バーチャルオフィスの活用を検討してみるとよいでしょう。

まとめ

何らかの事情で急遽地方への移住が決まった場合、「東京都内にある会社をど うするか」と悩む場合もあるかもしれません。もちろん本店所在地を移住先住 所に移すことも可能ですが、会社が支払う税金の支払い先を変更する手間を考 慮すると東京都のままにしておくほうがスムーズです。

その際は、ぜひ都内一等地にあるバーチャルオフィスに切り替えて固定費を抑 えつつ、信頼度の高い住所を使用しながら会社の経営を有利に進めていきま しょう。

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