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「中小企業診断士」の仕事とは?自宅での開業時に利用すると便利なバーチャルオフィスの魅力もご紹介

中小企業を対象に経営分析を行い、課題解決に向けたサポートを行う「中小企業診断士」。パソコンや電話といった最低限の備品があれば仕事を行えるため、資格を取得したあとで“自宅兼オフィス”での独立開業を検討している方もいるのではないでしょうか。

その際には登記申請時にバーチャルオフィスの住所を利用すると便利ですが、「バーチャルオフィスの住所で本当に登記申請できる?」と不安を感じている方もいるかもしれません。まずは中小企業診断士の仕事内容やバーチャルオフィスの特徴をしっかりと把握したうえで、ご自身に適したスタイルでの開業を目指すとよいでしょう。

そこで、今回は中小企業診断士の概要や仕事内容、仕事に就くまでのステップを解説するとともに、登記申請時におけるバーチャルオフィスの利用可否やメリットについても詳しくまとめました。

中小企業診断士の仕事に興味をお持ちの方や、バーチャルオフィスを活用した開業を検討している方は、ぜひ参考にしてみてください。

「中小企業診断士」とは

中小企業診断士は、経営コンサルタントとして唯一の国家資格です。中小企業の経営状況を多彩な角度から診断して問題点を洗い出し、売上アップにつながる解決策を提案する役割を担っています。

なお、中小企業診断士には、大きく分けて企業に所属して勤務する「企業内診断士」と、独立開業して事業活動を行う「独立診断士」の2種類があります。

目安として中小企業診断士の3人に1人が独立診断士といわれており、開業当初はコスト削減を目的として自宅を拠点に事業活動を行うケースが多くみられます。

中小企業診断士の主な仕事内容

中小企業診断士の仕事内容は、主に下記の3つです。

・経営コンサルティング
・経営改善計画書や経営診断書の作成
・経営に関する専門知識の発信


具体的な仕事内容について、以下で詳しく見ていきましょう。

経営コンサルティング

中小企業診断士における中心的業務といえるのが、経営コンサルティングです。まずは中小企業を対象に客観的な視点から経営面の相談に乗り、経営状況の分析を行います。

そして経営課題を企業側に明示し、課題解決に向けた対策や具体的なアクションのスケジュールなどを提案します。

経営改善計画書や経営診断書の作成

クライアント企業の各種申請時に必要となる経営診断書や経営改善計画書の作成も、中小企業診断士における重要な業務です。

経営改善書とは経営を改善するための対策法を記した書類で、金融機関から融資や支援金を受け取る際などに用いられます。一方、経営診断書は企業の経理的な基盤を証明するために作成するもので、産業廃棄物許可申請を提出する際に必要とされる書類のひとつです。

なお、これらの2つの書類の作成は中小企業診断士のみが行える業務であり、この仕事の社会的ニーズの高さにもつながっています。

経営に関する専門知識の発信

中小企業診断士のなかには、セミナーや講演会などを開催して経営に関する情報発信を行う方も存在します。また、ブログやSNSなどを通じて発信するケースも多いほか、実績や仕事ぶりが買われて経営本や新聞記事のコラム等での情報提供を求められる場合もあります。

中小企業診断士になるには

続いては、中小企業診断士になるまでのステップを押さえておきましょう。主な流れは下記の通りです。

1.中小企業診断士試験に合格
2.実務補習または実務従事
3.中小企業診断士として登録


それぞれのステップについて詳しくご紹介します。

1.中小企業診断士試験に合格

まずは、受験資格がなく誰でも受験可能な「中小企業診断士試験」を受験して合格する必要があります。中小企業診断士試験には1次試験と2次試験があり、それぞれの概要は以下の通りです。

中小企業診断士試験における1次試験の概要

実施頻度/日程 年1回/例年8月頃
実施地区 札幌・仙台・東京・名古屋・金沢・大阪・広島・四国・福岡・那覇
試験の方法 多肢選択式による筆記試験
試験科目 1.経済学・経済政策、2.財務・会計、3.企業経営理論、4.運営管理(オペレーション・マネジメント)、5.経営法務、6.経営情報システム、7.中小企業経営・中小企業政策
受験手数料 14,500円
合格基準 下記2点をいずれも満たす必要あり
・総点数の60%以上を得点
・全科目で満点の40%以上を得点
2次試験の受験資格有効期間 2年間(合格年度を含む)

中小企業診断士試験の1次試験においては、上記7科目を2日間にわたって受験します。各科目の配点は100点、合計700点満点となっており、その60%以上にあたる420点以上を得点する必要があるほか、全科目において40点以上を得点することが合格基準です。

中小企業診断士試験における2次試験の概要

実施頻度/日程 年1回/筆記試験は10月・口述試験は1月頃
実施地区 札幌・仙台・東京・名古屋・大阪・広島・福岡
試験の方法 筆記試験と口述試験
試験科目 【筆記試験】
中小企業の診断および助言に関する実務の事例(下記4点)
事例I:組織・人事戦略診断
事例II:マーケティング・流通戦略診断
事例III:生産・技術戦略診断
事例IV:財務(ファイナンス)戦略診断

【口述試験】
診断・助言に関する面接
受験手数料 17,800円
合格基準 【筆記試験】
下記2点をいずれも満たす必要あり
・総点数の60%以上を得点
・全科目で満点の40%以上を得点

【口述試験】
評定が60%以上

中小企業診断士試験の2次試験においては、まずは筆記試験を受験し、クリアした受験者のみ口述試験を受験できる仕組みです。なお、口述試験は約10分間の個人面接形式で行われます。

2.実務補習または実務従事

中小企業診断士試験に合格したら、3年以内に下記の要件を満たす必要があります。

・実務補習を15日以上受ける
・診断実務に15日以上従事する(実務従事)


実務補習は中小企業診断協会などが実施しているグループワークで、指導員のサポートを得ながら実際の中小企業に対して経営診断・助言を行い、経営コンサルティングの一連の流れを体験できる内容です。また、診断実務は企業や団体が実施しているもので、もともと経営コンサルティングの場に身を置いていた方などはこの要件をクリアできる可能性があります。

ただし、1次試験合格後に中小企業基盤整備機構または登録養成機関が実施する養成課程を修了した場合は、上記の実務要件は必要ありません。

3.中小企業診断士として登録

実務補習・実務従事によって要件を満たしたら、中小企業診断士としての登録申請を行います。具体的には中小企業庁の公式サイトから申請書や証明書をダウンロードし、必要事項を記入したうえで中小企業庁へ提出します。

提出書類は、実務補習・実務従事を修了した場合と養成課程を修了した場合で下記の通りに異なります。

実務補習・実務従事を修了した場合の提出書類 ・中小企業診断士登録申請書
・中小企業診断士2次試験合格証書
・実務補習修了証書または実務従事の実績証明書
・住民票の写し
養成課程を修了した場合の提出書類 ・中小企業診断士登録申請書
・養成課程あるいは登録養成課程の修了証明書
・住民票の写し

登録申請が無事に受理されると、登録された日の翌々月に官報上で氏名と登録番号が公表され、晴れて「中小企業診断士」を名乗れるようになります。

中小企業診断士として自宅を拠点に開業するなら「バーチャルオフィス」がおすすめ

先述のように、中小企業診断士の3人に1人が独立診断士であるといわれており、近年はオフィスを持たず自宅を拠点に独立開業する方が増えてきています。その際に多くみられるのが、住所のレンタルを行っている「バーチャルオフィス」を利用して登記申請するケースです。

法人登記時には本店所在地として事業用の住所を申請する必要がありますが、バーチャルオフィスはリアルオフィスのように物理的な占有スペースを借りるわけではないことから「きちんと申請できる?」と不安に感じる方もいることでしょう。

しかし、バーチャルオフィスでは本店所在地に適した住所を貸し出しているため、問題なく登記申請手続きを進められます。

また、中小企業診断士として開業する際にバーチャルオフィスを利用すると、下記のようなメリットもあります。

・初期費用を軽減できる
・一等地の住所を手軽に利用できる
・自宅住所を公開せずに済む
・自宅を引っ越す際に住所変更の手続き・連絡が必要ない
・会議室貸出や郵送物転送などのサービスを受けられる


具体的にどのような魅力があるのか、ひとつひとつ見ていきましょう。

初期費用を軽減できる

バーチャルオフィスを利用する最大の魅力といえるのが、初期費用を抑えて事業用拠点を設けられることです。契約時に支払う登録料は5,000円~10,000円程度、月々の利用料は数千円程度が相場となっており、リアルオフィスを借りるよりも圧倒的に少ないコストで事業を始められます。

一等地の住所を手軽に利用できる

バーチャルオフィスのなかには都心一等地の住所を貸し出しているところも多く、ネームバリューの高い住所をリーズナブルに利用できることも大きなメリットです。ホームページや名刺などに有名な住所を掲載できれば、“経営が安定した会社”“信用度の高い会社”といったアピールにつながります。

自宅住所を公開せずに済む

開業時に自宅の住所を使用して登記申請することを検討している方もいるかもしれませんが、その場合はホームページや名刺などにその住所を記載する必要があるだけでなく、国税庁の法人番号公表サイトでも一般公開されます。つまり、自宅が簡単に特定される状況を生んでしまうため、防犯上の観点から自宅住所での登記申請はおすすめではありません。

その点、バーチャルオフィスを利用すれば自宅住所を公開する必要がなく、安全性の高い環境のもとで事業活動を行えます。

自宅を引っ越す際に住所変更の手続き・連絡が必要ない

バーチャルオフィスの住所で登記申請することで、引越しによって自宅住所が変わっても登記変更手続きを行う必要がありません。また、クライアント等への住所変更の連絡も不要です。

会議室貸出や郵送物転送などのサービスを受けられる

商談やミーティングなどの際に、「適切な場所がなくて困るかも…」とお考えの方もいるでしょう。そのような場合に備えて、バーチャルオフィスのなかには事前予約制にて会議室の貸出を行っているところも存在します。

また、バーチャルオフィスの多くが郵送物を自宅などの所定の住所へ転送するサービスを行っており、わざわざ受け取りに行く必要がなく大変便利です。

まとめ

中小企業の経営コンサルティングや経営改善計画書・経営診断書の作成などを担う「中小企業診断士」は、企業の健全な経営と将来性を支える社会的ニーズの高い仕事です。近年は独立診断士としての働き方が人気となっているため、ひとつの選択肢として検討してみてはいかがでしょうか。

もし「自宅を拠点に事業活動を行いたい」とお考えなら、法人登記に適した住所を借りられるバーチャルオフィスを利用されるとよいでしょう。ぜひコスト削減やプライバシー保護などのメリットを得ながら、リーズナブルかつ安全性に優れた環境で中小企業診断士としての活躍を目指してみてください。

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