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一般社団法人の設立時におすすめの融資とは?バーチャルオフィスを活用するメリットもご紹介

2008年12月1日に『新公益法人制度』が施行されて以降、簡易的な登記手続きにて設立できるようになった「一般社団法人」。営利目的ではない事業活動を検討している場合に向いている法人形態ですが、非営利であるがゆえに「融資は問題なく受けられる?」と不安を感じている方もいるかもしれません。

そこで、今回は一般社団法人を設立する際に利用な可能な融資に触れながら、おすすめの種類や融資を受けるポイントについて詳しくまとめました。また、一般社団法人の登記先として「バーチャルオフィス」を利用するメリットも併せてご紹介します。

まずは法人設立時に利用可能な融資をチェック

まずは、法人を新たに創業した方や、事業を開始して間もない方向けの融資について押さえておきましょう。
創業者向けの融資は、主に下記の2種類です。

・新創業融資
・制度融資


それぞれどのような融資なのか、以下で詳しく解説します。

・新創業融資

「新創業融資」は、日本政策金融公庫が提供している創業者向け融資制度のひとつです。新たに事業を始める方、あるいは創業から2期を終えていない方が一定の条件を満たす場合に、事業の開始時または事業開始後に必要となる運転資金や設備資金を無担保・無保証人で借りられます。

この融資制度の審査時には「業務経験の有無」が重要視される傾向があるため、新たに創業する業種が前職の業種と同じ場合は融資を受けられる可能性が高くなるといわれています。なお、実際に融資を受けるまでの期間は、申し込みから1ヶ月程度です。

・制度融資

「制度融資」は、市町村などの地方自治体・銀行などの金融機関・信用保証協会の3つの機関が協力して融資を行う制度です。信用保証協会が債務の保証を行い、銀行が融資を実行し、地方自治体が助成するといった流れで実行されますが、具体的な概要は各自治体によって異なります。

制度融資は基本的には無担保で利用できるものの、法人の代表者が連帯保証人になる必要があります。なお、3つの機関それぞれが融資の審査を行うことから、申し込みから融資を受けるまでの期間は2ヶ月程度と⾧めです。

【新創業融資と制度融資の比較表】

新創業融資 制度融資
金利 約2.40%~4.00% 1.5%~2.3%
返済期間 運転資金:基本的に5年以内
設備資金:基本的に15年以内
運転資金:基本的に7年以内
設備資金:基本的に10年以内
限度額 3,000万円
(そのうち運転資金は1,500万円)
自己資金の2倍まで
自己資金との関係 融資希望金額の10分の1以上の自己資金があることが条件 自己資金の2倍まで

一般社団法人なら「日本政策金融公庫」から融資を受けるのがおすすめ

一般社団法人の創業時には、日本政策金融公庫から融資を受けることをおすすめします。一般社団法人のような非営利法人でも利用しやすいといわれており、収益事業をメインに行う普通型一般社団法人であればさらに融資のハードルが低くなる印象です。

前項でご紹介した「新創業融資」のほか、社会的課題の解決を目的とする事業を営む方向けの「ソーシャルビジネス支援資金」といった融資制度もあるため、事業内容に合わせて検討するとよいでしょう。

一方、「制度融資」のように金融機関から融資を受ける方法はおすすめではありません。一般社団法人は利益を上げることではなく活動目的の達成を第一としている法人形態であることから、金融機関側から「返済が滞るリスク」を懸念されてしまう傾向があるためです。

ただし、収益力や担保能力が十分にある場合は融資を受けられる可能性もあります。

一般社団法人が融資を受けるポイントは「事業計画書」にあり

一般社団法人の場合は日本政策金融公庫の融資制度がおすすめですが、「日本政策金融公庫なら必ずお金を貸してくれる」というわけではありません。融資の申し込み時には審査が行われ、返済可能と判断された場合のみ審査に通過し、融資を受けられます。

返済が可能な法人かどうかは「事業計画書」で判断されることが多く、特に以下の内容が重要視される傾向があります。

☑ 自己資金
☑ 事業内容
☑ 事業経験
☑ 事業計画
☑ 担保・保証人

一般的には多くの資金や保有担保がある場合や、社会的意義の高い事業内容である場合、同一業種における事業経験がある場合などに審査で有利になりやすい印象です。また、事業計画の綿密さも重要なポイントとされているため、実現できる可能性の高い内容を意識しながら丁寧に事業計画書を作成し、審査に臨むとよいでしょう。

「制度融資」のように金融機関が提供している融資に申し込む場合も、上記を意識することが大切です。ただし、各金融機関において見解が異なるため、審査で重視されやすいポイントについて事前に金融機関の窓口へ相談することをおすすめします。

一般社団法人の登記先として「バーチャルオフィス」を利用するメリット

ここまで一般社団法人におすすめの融資をご紹介してきましたが、これから創業しようとお考えの方のなかには「法人の登記先住所」についてお悩みの場合もあるかもしれません。オフィスを借りるにはまとまった資金を用意する必要があることから、「法人を立ち上げたいけれど費用面で難しそう…」と躊躇されている方もいることでしょう。

そのような場合におすすめしたいのが、バーチャルオフィスを利用することです。バーチャルオフィスとは、一般的な賃貸物件のような物理的なスペースではなく「事業用の住所やFAX番号など創業に必要な基本情報をレンタルできるサービス」で、主に以下のようなメリットがあります。

【メリットその1】オフィスを借りるよりも費用を抑えられる

まず注目したいメリットが、事務所用に賃貸物件を借りるよりも少ない資金で利用で きることです。

もしも賃貸物件を借りる場合は、契約時に敷金や礼金、不動産仲介手数料などの初期費用を支払う必要があります。また、毎月の家賃についても考慮すると、経済面においてかなりの負担がかかることを想定しておかなければなりません。

一方、バーチャルオフィスを利用すれば5,000円~10,000円程度の登録料と、月に数千円程度の利用料のみで登記先住所を入手できます。賃貸物件を借りるよりも大幅に費用を抑えられるため、物理的なスペースを必要としない一般社団法人の設立時に大変おすすめです。

【メリットその2】ビジネス用の住所と自宅住所を分けることができる

自宅を拠点に法人を立ち上げる場合に、自宅の住所で設立登記を行うケースも少なくありません。しかし、物件の賃貸借契約や管理規約によっては『事業用としての使用は不可』と定められていることが多く、それを知らずに登記を行って後々トラブルに発展した事例もあるため注意が必要です。

バーチャルオフィスなら法人登記に適した住所をリーズナブルにレンタルできるため、自宅を拠点に活動する場合に利用すればビジネス用の住所と自宅住所をしっかりと分けられます。公私の住所を別々にしておくことで、自宅の転居時にビジネス用の住所を変更する手間を省けることもうれしい魅力です。

【メリットその3】プライバシーを守れる

もしも一般社団法人の設立登記時に自宅の住所を使用する場合、その住所が公開されてしまう点にも注意が必要です。「本店所在地」として申請した住所は公開情報に指定されており、国税庁の法人番号公表サイト等で誰でも閲覧可能となるためです。

バーチャルオフィスを利用して法人登記を行えば、そういったプライバシーのリスクを懸念する必要はありません。自身や家族の身の安全をしっかりと守りながら、事業運営に集中できます。

まとめ

一般社団法人の創業時には、日本政策金融公庫が提供している融資制度を利用するとよいでしょう。金融機関の融資に比べてハードルが低く、一般社団法人のような非営利法人でも融資を受けやすい傾向があります。

ただし、審査に通過するためにはしっかりとした事業計画書を提出し、担当者に「信頼できる事業者」と印象付けることが大切です。

ぜひバーチャルオフィスの活用も視野に入れながら綿密な事業計画書を作成して、スムーズな資金調達を目指しましょう。

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