起業直後の個人事業主から、スモールビジネスの経営者、中小企業まで、事業運営
における資金調達は大きなテーマです。
バーチャルオフィスを利用して事業をスマートに立ち上げる方が増える一方、「事
業の強化」「新しい設備投資」「販路拡大」「業務効率化」に
必要な資金をどのように確保するか悩まれるケースも少なくありません。
そこで活用したいのが、中小企業庁や経済産業省が提供する“補助金制度”です。
本コラムでは、特にバーチャルオフィスユーザーとの相性が良い4つの主要補助金
について、その概要と申請の流れをわかりやすく解説します。
事業再構築補助金は、企業が新市場への進出や新事業への転換など、事業モデルを
大胆に変革する際に活用できる大型補助金です。
コロナ以降の経済環境変化に対応するために設計され、比較的高額な補助が受けら
れることから、設備投資や新分野展開を検討する中小企業に人気があります。
主な特徴:
・補助上限額が大きく、事業規模次第で数千万円規模も可能
・新規事業・業態転換など、明確な「事業転換」が必須
・事業計画書の作成が重要で採択率にも影響
1:事業計画の策定(専門家と連携するケースが多い)
2:GビズIDの取得
3:公募要領を確認し、必要資料を準備
4:電子申請システムから応募
5:採択結果の発表 → 交付申請 → 実施 → 実績報告
ものづくり補助金は、生産性向上に向けた設備投資や新製品・新サービス開発を支
援する補助金です。
製造業だけでなく、ITサービス・小売・飲食など幅広い業種が対象となり、革新的
な取り組みが求められます。
主な特徴:
・設備投資や新サービス開発に強い
・デジタル化・自動化などの取り組みにも適用
・要件に「付加価値の向上」など明確な数値目標がある
1:事業内容の整理・補助対象経費の検討
2:GビズIDプライム取得
3:事業計画書の作成(加点項目の対策も重要)
4:電子申請
5:採択後、交付申請 → 実施 → 実績報告
小規模事業者持続化補助金は、販路開拓や集客強化のための取り組みを支援する、
小規模事業者向けの人気補助金です。
バーチャルオフィス利用者とも特に相性がよく、広告費やホームページ制作費など
幅広く活用できます。
主な特徴:
・小規模事業者が対象でハードルが低め
・チラシ作成、HP制作、ECサイト構築など幅広く使える
・申請書の分量は少ないが、内容の質が採択を左右
1:商工会議所で「事業支援計画書」の作成支援を受ける(必要な場合)
2:事業計画書の作成
3:郵送または電子申請で応募
4:採択決定 → 事業実施 → 実績報告
IT導入補助金は、業務効率化・売上向上のためのITツール導入を支援する補助金で、
クラウドシステムや予約管理システム、会計ソフトなどが対象です。
バーチャルオフィス利用者の多くが小規模構成であり、業務効率を高めたい方に最
も取り組みやすい補助金のひとつです。
主な特徴:
・対象は「IT導入支援事業者」が登録したツールのみ
・ECサイト構築、業務自動化など幅広いシーンに活用
・採択スピードが比較的早い
1:IT導入支援事業者とのマッチング・ツールの選定
2:GビズID取得
3:申請書類の作成(支援事業者がサポートする場合が多い)
4:電子申請 → 採択 → 導入 → 実績報告
補助金申請は、公募要領の理解や事業計画の作成が必要であり、専門知識なしで取
り組むと負担が大きく、採択率にも影響します。
特に事業再構築補助金やものづくり補助金のような競争率の高い補助金は、プロに
よる申請サポートが採択率向上の鍵となります。
専門家に依頼するメリット
・採択されやすい計画書の作成が可能
・申請書類のミス防止
・スケジュール管理や要件確認を代行
・自分は本業に集中できる
バーチャルオフィス利用者の場合、限られたリソースで事業を運営しているケース
が多く、専門家との連携は大きな価値を生みます。
法人化を検討している方のなかには、「事業用のオフィスを用意する手間やコスト
がかかってしまう」と不安を感じている方もいるのではないでしょうか。
自宅を拠点に事業活動を行うことも可能ですが、賃貸物件の場合は登記先住所とし
て申請できないケースも多いため注意が必要です。
そこでおすすめしたいのが、事業用の住所をレンタルできる「バーチャルオフィ
ス」です。占有できるワークスペースを必要としない場合に適したサービスで、法
人化する際に利用すると下記のようなメリットがあります。
・初期費用やランニングコストを抑えて本店所在地を設けられる
・自宅住所で登記申請するよりも安全性が高い
・都心の住所を手軽に利用できる
・ミーティングスペースを利用できる場合もある
・法人設立手続きをサポートしてもらえる場合もある
それぞれの魅力について、以下で詳しく見ていきましょう。
法人化にあたって賃貸オフィスを契約する場合、家賃の6か月~1年分程度の保証料
をはじめ、家賃1か月分相当の礼金や仲介手数料といった高額な初期費用がかかり
ます。一方、バーチャルオフィスの初期費用は5,000円~10,000円程度の登録料のみ
で、毎月の利用料も数千円程度と大変リーズナブルです。
オフィスの賃貸物件を借りるよりも大幅に費用を抑えて本店所在地を設けられるた
め、「なるべく少ないコストで法人化したい」とお考えの方はぜひバーチャルオ
フィスを検討するとよいでしょう。
自宅の形態によっては登記先住所として申請可能な場合もありますが、その場合は
プライバシー関連のリスクに注意が必要です。登記時に本店所在地として申請した
住所は国税庁の法人番号公表サイト等に掲載されるため、自宅住所の公開によって
何らかのトラブルに見舞われる懸念があります。
しかし、バーチャルオフィスの住所で登記申請を行えばバーチャルオフィスの住所
が掲載されることから、そういったリスクを気に病む必要はありません。
経営者自身や家族のプライバシーを守りつつ、安全性の高い環境で事業活動を行え
ます。
バーチャルオフィスの住所は、銀座や渋谷、新宿といった都心に数多く点在してい
ます。そのようなネームバリューの高い立地にオフィスを構えるとなると多額の費
用がかかりますが、バーチャルオフィスなら先述のようにリーズナブルな価格で利
用でき、あたかもそこにオフィスが存在しているかのように見せることが可能です。
都心一等地に拠点があると「安定した会社」といった印象を与えられ、ビジネス活
動において大変有利に働くでしょう。
「自宅兼オフィスで法人化したいけれど、ミーティングを自宅で行うのはちょっと …」とお悩みなら、ミーティングスペースのレンタルを行っているバーチャルオ フィスを利用するとよいでしょう。運営会社によっては一時利用できるスペースを オプションで貸し出しているところもあり、クライアントとの打ち合わせ等に便利 です。
バーチャルオフィスによっては、オプションで法人設立手続きをサポートしている ところも存在します。法人化にあたっては煩雑な手続きが多く発生するため、自力 での対応に不安を感じる場合はぜひ利用するとよいでしょう。
バーチャルオフィスは、コストを抑えて事業をスタートできる反面、資金調達
の選択肢を広げることが重要となります。
今回ご紹介した4つの補助金は、事業拡大・設備投資・販路拡大・IT化など、さ
まざまな成⾧ステージに対応しており、バーチャルオフィスユーザーとの相性
が非常に良い制度です。
・新規事業への挑戦なら「事業再構築補助金」
・設備投資・新サービス開発なら「ものづくり補助金」
・販路拡大なら「小規模事業者持続化補助金」
・業務効率化なら「IT導入補助金」
補助金を賢く活用することで、限られたリソースでも大きな成⾧のきっかけを
つくれます。
バーチャルオフィスを拠点に事業展開を進める皆さまにとって、補助金の活用
は非常に有効な選択肢となるでしょう。