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バーチャルオフィスと許認可の問題

「開業時の初期コストを抑えたい」と考えて、事務所用の物件を借りずに自 宅の住所で法人登記を行うことを検討している方もいるでしょう。しかし、 業種によっては自宅住所では許認可申請を行えない場合もあるため、許認可 を得られる条件について事前にしっかりと確認しておくことが大切です。

そこで、今回は「許認可」とは何か、そして許認可が必要となる主な業種に ついて触れながら、自宅住所では許認可が下りない恐れがあることとその理 由を解説します。また、実際のトラブル事例もご紹介しつつ、スムーズに事 業を開始するためにおすすめしたい「バーチャルオフィス」の魅力について もまとめました。

開業前に押さえておきたい「許認可」とは

新しく事業を始める際には、事業内容によっては「許認可」の取得が必要です。

そもそも許認可とは、「特定の事業を行うために行政機関から取得しなければ ならない許可」のこと。国民の安全や健康を守る目的で、ある一定のレベルに 達した人にのみ許認可が与えられるという制度が設けられています。

もしも許認可が必要な業務を無許可で開始すると、許認可の権限を持つ行政庁 から「営業停止命令」や「刑事罰」を受ける可能性があるため注意が必要です。 たとえば営業許可を取得せずに飲食店を開業した場合、2年以下の懲役または 200万円以下の罰金を科せられます。

参考;e-vov法令検索「食品衛生法」

なお、許認可は『届出』『登録』『認可』『許可』『免許』の5つに分類され ます。それぞれの概要は以下の通りです。

・届出
国や地方自治体に対して事業内容を通知することで、事業者が違法なことをし ていない限り必ず受理されます。
例)「クリーニング所開設届出」や「深夜酒類 提供飲食店営業届出」など

・登録
国や地方自治体の管理する帳簿に記載してもらえるよう申請することで、書類 に不備がなければ必ず登録されます。
例)「毒物劇物販売業登録」や「福祉有償運送登録」など

・認可
行政庁の合意がないと成立しない業務の場合に行う申請のことで、基準を満た していれば必ず認可されます。
例)認可保育園の設立など

・許可
法律で禁止されている行為を事業として行う場合に必要な申請で、行政機関の 審査に合格すると営業が許可されます。
例)飲食店の「営業許可」や建設業の「建設業許可」など

・免許
法律に定められた要件を満たしていることを証明し、業務を行う資格があると 認められること。講習や試験によって免許を取得できます。
例)「美容師免許」や「看護師免許」など

許認可が必要となる主な業種をチェック

ここでは許認可が必要となる主な業種をピックアップし、それぞれにおいて必 要な許認可の種類や窓口、根拠となる法律についてご紹介します。ご自身が検 討されている業務が該当するかどうか、あらかじめチェックしておきましょう。

許認可が必要な業種 必要となる許認可の種類 窓口 根拠となる法律
ペットシッター業 届出 都道府県知事または政令指定都市の市⾧ 動物愛護管理法
飲食店業 飲食店営業許可 厚生労働省関係(保健所) 食品衛生法
理髪店業・美容店 開設届出 都道府県知事(保健所設置市については市⾧、東京都は特別区⾧) 理容師法・美容師法
建設業・大工 建設業許可 国土交通省(土木事務所) 建設業法
リサイクルショップ業 古物商の許可 公安委員会(警察署の生活安全課) 古物営業法
化粧品販売業 化粧品・医療品製造販売業許可 厚生労働省関係 医薬品医療機器等法
自動車解体業 自動車解体業許可 経済産業省(都道府県知事) 自動車リサイクル法
ゴミの収集運搬業 一般廃棄物収集運搬業許可 環境省 廃棄物の処理及び清掃に関する法律
キャバクラ・ダンスホール業 風俗営業の許可 都道府県公安委員会 風俗営業等の規制及び業務の適正化に関する法律
探偵業探偵業届出 探偵業届出 公安委員会(警察署の生活安全課) 探偵業の業務適正化に関する法律

自宅住所で法人登記を行うと「許認可を得られない」リスクがある

許認可が必要な業種のなかには、認可を得るために「事務所の面積が一定以 上」などの条件をクリアする必要があるものも存在します。

たとえば建設業の営業許可を得るには、以下のような基準を満たさなければな りません。

・居住部分とは明確に区分した事務スペースを確保すること
・玄関に商号を表示しなければならない

特に賃貸マンションの場合には「居住部分とは明確に事務スペースを確保す る」という条件を満たすことは困難なケースが多く、自宅の住所で法人登記を しても許認可を得られずに営業を開始できない恐れがあります。また、賃貸借 契約などに「居住用」と明記されている場合はオーナーからの許可を得られな い場合も多く、スムーズに許認可手続きを行えない可能性があるため注意が必 要です。

以上のことから、登記前にはしっかりと許認可の条件を確認し、自宅住所で許 認可申請可能かどうかを見極めることが大切です。もしも自宅では不適切であ る場合は「条件にマッチする物件」を新たに用意する必要があるでしょう。

許認可に関するトラブル事例をチェック

具体的にどのようなトラブルが想定されるのかをイメージしやすくするために、 ここではカスタマープラスのバーチャルオフィスを利用されている方が実際に 体験された「プライバシー関連のトラブル事例」をいくつかご紹介します。

【許認可に関するトラブル事例】

自宅住所(賃貸物件)でペットシッター業を開業しようと思い、許認可を得る 条件を調べたところ「物件オーナーの使用承諾書」が必要であることがわかり ました。

早速物件オーナーに相談しましたが、残念ながら使用承諾の許可は得られず。 動物愛護相談センターにも相談したのですが、賃貸物件の場合はオーナーの使 用承諾書がなければ許認可を承諾できないとの回答でした。

費用の問題からオフィスを借りるつもりはなかったため諦めかけていたとき、 知人から紹介されたのがカスタマープラスのバーチャルオフィスです。使用承 諾書の発行も可能とのことですぐに契約し、その後の手続きをスムーズに行う ことができました。

自宅以外の登記先住所をお探しなら「バーチャルオフィス」がおすすめ

上記の事例のように「自宅住所では許認可を得られないけれど、新たに賃貸物 件を借りることはしたくない」という方は、バーチャルオフィスを検討されて はいかがでしょうか。バーチャルオフィスとは「仮想のオフィスを借りられる サービス」のことで、許認可申請に適した住所をレンタルできます。

利用するためには登録料や利用料を支払う必要がありますが、新たに賃貸物件 を借りるよりも大幅にコストを抑えることが可能です。サービスによっては FAX番号の利用や郵便物の受け取りといった機能も付帯されており、少ない資 金での開業を希望する方に人気を集めています。

まとめ

業種によっては開業時に「許認可」を取得することが求められており、自宅住 所ではスムーズに許認可を得られない可能性がある点に注意が必要です。また、 許認可の問題以外にもさまざまなリスクがあるため、自宅兼オフィスで事業を 行いたい場合には「バーチャルオフィス」の利用を検討することをおすすめし ます。

ぜひさまざまな角度でリスク回避をしっかりと行いながら、着実に開業準備を 進めていきましょう。

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